仲間は別の理由を知っている『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由(栗原類)』
ぱっとこのタイトル、表紙を見た時あなたは本に対してどのような印象を持ちますか?
私の場合、まず思ったことが
「『アウト×デラックス』で見てたアウト軍団の人だ。発達障害だったんだ」
ということ。
その後に、「テレビで見てると、面白い人だから「発達障害」という決して軽くはないテーマに何を書くのか気になるなあ。」
と「有名人が発達障害について書いた」ことへの興味でこの本を買いました。
しかし、実際に読んでみて、本への印象は大きく変わりました。
この本は発達障害者を持った当事者(栗原さん)に加えて、
「彼の親、主治医、友人の目線からも、当事者について語られていること」
そして「3人それぞれが自分の人生経験を踏まえて語っていること」
が特徴的で素晴らしい本だと思いました。
友人・又吉直樹さん(芸人)
友人だから、発達障害という定義から一度離れて苦手なことと向き合う栗原さんを見れているように感じました。
ただ、友人の1人というだけではなく、又吉さん自身が栗原さんに対して、過去の自分と似ていると感じているところがあるところ、
類くんにはじめて会った時の印象は、自分の10代から20代前半くらいの、誰ともしゃべらなかった頃の感じにすごい似てるなあって。
そして、又吉さんの小説を読んだ時も思ったのですが、「他人がどう考えて、どう行動するか」をよく観察されていて、それを分かりやすい言葉にして伝えてくれる方なんですよね。
他人への洞察力、過去の自分自身の経験を踏まえた考察から話される又吉さんによる栗原さん評って、芸能界で仕事を共にした仲間・友人として主治医にも親にも見えない一面が分かりやすく説明されていて、興味深かったです。
主治医・高橋猛さん
主治医だからこそ、医師としての経験や知識を根拠に、栗原さん親子の取り組み・工夫について「何が良かったのか?」掘り下げて書けるように感じました。
母・栗原泉さん(音楽関係の翻訳業)
親だからこそ、子供が覚えていないことも、他人なら書きづらいことも書けるように感じました。
また、「親だから」というだけでなく栗原泉さん自身が発達障害に関して経験豊富であるからこそ書けることが多いように感じました。
栗原泉さんの発達障害に関するエピソード
・彼女自身は大人になってから、息子の診断と同時に発達障害だと診断されている。
ただ、息子とは異なる特性を持った発達障害だった。
・アメリカ、日本両方で子育てをしたことで、日米での発達障害に対する考え方、取り組みの違いを経験している。
→彼女の意見や考えは、
・発達障害をもった自分自身に関する経験
・発達障害をもった子供を育てた親としての経験
・日米での発達障害に対する様々な違い
これらの多くの実体験や知識が根拠にあり、説得力を感じました。
→また、「発達障害と言っても人によって特性が異なる」ことを自分と息子で経験しているせいか、彼女の意見や考えには「発達障害の人はこういうもの」という決めつけが無く、様々な特性を考慮されているので、様々な発達障害をもった当事者にも読みやすいのではないかと感じました。
まとめ・「発達障害の僕が輝ける場所を見つけられた理由」とは
栗原さんの考える理由に加えて、周りの栗原さんを見てきた人間からもその理由が語られることで、より良く分かった気がします。
発達障害について考えを深めたい時に読む1冊として、手にとってみてはいかがでしょうか。